親子の問題は結婚前に解決しておくべきである。ところが、こういう子どもがやがて親となって、今度は親として子どもに接するとき、子どもの自立を妨げる存在になりかねない。子育てにはさまざまな苦しみが伴い、それだけに喜びも大きい。大事に育てるほど子どもとの距離をとるのはむずかしい。だから、子どものことなどまだ実感をもって考えられない婚約時代から、自分の子どもの頃を思い起こし、決して子どもに依存しないという決意をしておくべきである。これは早婚と晩婚とにかかわらない。仮に子どもを産むのが年齢的に遅かったとしても、将来決して子どもを支配しない、また、子どもに依存しない、とはじめから覚悟を決めていれば、子どもとの関係や子どもの心理的成長に、とくに問題が起こることはないはずである。
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地方に住むある年配の元教授は、年に何度か東京に出るが、東京に住む長男夫婦の家には決して泊まらずに、自分でホテルをとることにしている。息子の家に泊まれば嫁の負担になる。息子夫婦の人生を尊重し、介入しないために距離を保っているのである。息子は資産をなしていて、教授がいえば、いつでもいくらでも金を出してくれるそうだ。しかし、彼は一円たりとも息子から金をもらったことはない。「私は年金で食べています。もし一円でも金をもらってしまったら、少しずつでも子どもに依存する気持ちが強くなるでしょう。私は金をもらって豊かな生活をするよりは、自分の年金を頼りに生活していくほうが、人生に対する活力が湧いてくるんです」親が子に対する情とちょっとした甘えを抑え、子どもとの距離を保つことこそが、いい親子関係を築くコツであると思う。