若い学生に向かってこの歌を紹介し、君たちももう少し早くこの世に生を受けていたら、今のように就職の問題に悩むこともなかったのに、というところから大学の授業を始めるのが常であった。状況は異なるが、別の人生を歩むことができたかもしれないのにという意味で、私の好きなこの歌を引用したものである。日本の若者が雇用問題で苦境に立ったのは、せいぜいここ数年の話である。しかし、世界の若者たちは、ずっと以前から雇用問題に直面してきた。
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先進諸国の若者がひとしく、自分にあった職を求めて悪戦苦闘している。日本に限らず、先進諸国は共通した問題に直面していると言っていいだろう。本来、若者は中高年より体力的に優れていることは言うにおよばず、知的な側面においても技術の習得などの適応能力を持っているはずである。変化の激しい現代においては、本来優位な立場にあると考えられる。その若者が、どうして働く場を求めて苦闘しなければならない状況に追いやられているのであろうか。誰しも十代・二十代に若返ることができるとしたら、それを拒否する者などいないであろう。しかし、西欧のジョークでは、「今若返ったら一つだけ困ることがある。それは雇用の問題である」と言われている。現在の若者の雇用情勢は、過去とは比較にならないほど悪化しているということなのだろう。しかも、それは世界に共通した現象なのだ。七七年に、OECDの主催で「若年雇用」についてのコンファレンスが開催されたことがある。ここでの若年雇用に関する見通しは、非常に楽観的なものであった。予測される若者人口の減少などを背景に、むしろ若年層の労働需給がタイトになることを予測する声が主流であった。つまり若年雇用の不足が心配されていたのだ。エコノミストの多くが若年雇用の将来を楽観的に予測していたことになる。一体何か間違っていたのであろうか。なぜ、本来強い立場に立つはずの若者が社会的・経済的に弱者の立場に陥ってしまったのであろうか。こうした問題意識をもとに、今日の世界の若者雇用の実態について、まず概観してみよう。