実存的交わりによって、ヤスパースは現代社会のなかで機械化され平均化された人々に真の自己を見いだし、主体性を回復させようとする。ところで、こうしたヤスパースの哲学が教育的にもっとも鮮明に論究されているのは、ソクラテス的教育の形態においてである。彼は、教育の基本的形態として、スコラ的教育、マイスター的教育、ソクラテス的教育の3つを論じ、それぞれの特質を明らかにしながら、結局はソクラテス的教育のすぐれている点を解明するのである。まずスコラ的教育は、絶対的真理である信仰箇条や教義を教育内容とし、教師の役割はその内容をただ生徒に伝えればよい。ゆえに、この人でなければ教育の効果はないというような教師の個性や人間性は、たいした意味を持たないといえるであろう。生徒は教師から与えられた知識を記述し暗記すればよく、しかもその作業が正確で迅速であればあるほど、優秀とみなされたのである。
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