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メガブランド争奪戦争が残した教訓とは

結局のところ、こうした有名ブランドのコングロマリット化を生み出した背景にあるのはファッションマーケット自体の急成長と体質変化だと思うんです。極論すれば、従来は100億円単位のビジネスが基本だったブランドビジネスが、新たなビジネス展開で1000億円という肛位に成長すること。そしてその売りあげの根幹を成すのは、決してプレタポルテの服ではなく、ブランドのアイデンティティを強烈に訴えるバッグや靴、革小物のビジネスであるという事実。よくいうことなんですけど、たとえばかつてアルマーニやヴェルサーチがブームの頂点にあった時代、アルマーニの店にバッグや財布だけを買いに来る客はそう多くはいなかったはず。ヴェルサーチの店で携帯電話のケースだけを買うようなことはなかったはずです。みんなキチンとウェアをコーディネートして買っていった時代だったと。しかし今、パリのヴィトンやミラノのグッチに開店前から並んでいる日本人の女の子達がオープンと同時に一目故に駆け込んでいくのは、決まってバッグや雑貨のコーナーです。誤解しないでほしいのは、何もそうした状況をただ批判しているわけじゃないんです。そういう現象が起きている結果が、1000億円というビジネスへとブランドビジネスを成長させた大きな原動力ですから。でも、本来モード・クリエイションで活躍すべきデザイナーが90年代中盤以降、“雑貨が売れなければ一流ブランドじゃない”という風潮に乗って、不平愚ながらロゴを配したバッグなんかを発表しているのには不利さを感じるんです。そんなことまでしなくていいんじゃないか、と。かつてオートクチュールが、時代が求めるモードの総量に堪えきれずにプレタポルテに主役の座を渡したように、高級感と完成度を求めすぎて形骸化したプレタポルテの次に控えるべき“ポストプレタポルテ”の正体は、“Xジェネレーション”と呼ばれた次世代の気鋭若于クリエイターではなく、マスーレベルの選民意識を満足させる一流ブランドの雑貨ビジネスであった。これが僕なりの結論です。